1.被疑者の身柄拘束
| 刑事訴訟法上、逮捕とは、捜査機関または私人が、犯罪の嫌疑を受けた者(被疑者)又は現行犯人の身体の自由を拘束し、引続き抑留することをいいます(刑事訴訟法199条以下)。 刑事訴訟法上、逮捕、勾留(身柄拘束の一種)、捜索(押収すべき物等の発見のための手続)、差押(証拠物・没収物の占有を強制的に取得する処分)等の強制捜査(任意捜査とことなり対象者の意思に反して行うことのできる捜査)を行うには、裁判官・裁判所が発する令状によらなければならないのが原則とされます(令状主義)。したがって、逮捕令状がなければ、逮捕できませんが、現行犯の場合と緊急逮捕の場合には、令状は不要とされます。緊急逮捕は、死刑、無期又は長期3年以上の懲役・禁固に当たる重い罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、逮捕状をとる余裕のない場合にその理由を告げて被疑者を逮捕することをいい、緊急逮捕後直ちに逮捕状を求め、逮捕状が発せられない場合直ちに被疑者を釈放しなければならないとされております(刑事訴訟法210条)。また、逮捕状の執行は、司法警察職員、検察官等の捜査機関に限定されますが(刑事訴訟法199条)、現行犯の場合は、私人による逮捕も認められております(刑事訴訟法214条、なお私人が不法に他人の身体の自由を奪うと、逮捕・監禁罪として処罰されます)。 捜査機関による被疑者の身柄拘束については、時間的な制限が設けられております。 司法巡査、司法警察員などの警察官が、被疑者を逮捕した場合、逮捕時から48時間以内に書類と証拠物とともに、検察官に送致する手続(いわゆる「送検」)をしなければなりません(刑事訴訟法203条)。そして、検察官は、送致された被疑者を受け取ったときから24時間以内に、裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならず、この勾留請求は、逮捕時から72時間を超えることができないとされています(刑事訴訟法205条)。検察官が、この時間的制限内に被疑者を勾留請求しない場合は、起訴した場合を除いて被疑者を釈放しなければなりません(但し、やむを得ず制限時間が守れなかった場合に例外的に勾留が認められる場合もあります。刑事訴訟法206条2項)。起訴した場合には、裁判官が勾留に関する処分をします(刑事訴訟法280条)。 検察官が勾留請求すると、裁判官は勾留するか否かを判断し、勾留理由がない場合などを除いて、勾留状が発せられ、被疑者は勾留されることになります。この勾留期間は、原則10日と法定されており、10日以内に起訴しない場合は、検察官は直ちに被疑者を釈放しなければなりません。但し、この10日勾留には、延長が認められており、検察官は、必要に応じて裁判所に対し、更に10日間の勾留延長を裁判官に請求することができるとされております(刑事訴訟法208条、なお、内乱罪等については、その後さらに5日間の勾留期間の再延長が認められています)。 したがって、被疑者は、逮捕から起訴まで、最大23日間の身柄拘束を受けて取り調べなどの捜査を受けることがあります。検察官は、勾留期間満了前に、起訴・不起訴等の処分を決定し、処分が決定できない場合は、処分保留のまま被疑者は釈放されることになります。起訴後は、裁判官ないし裁判所が、勾留処分を決することになり(刑事訴訟法280条、60条)、保釈保証金を積立てて保釈を受けることもできます(刑事訴訟法88条以下、起訴前はできません)。保釈請求が認められた場合は、身柄拘束は解かれますが、住居制限等の条件が付される場合があります。 |